抄録
要 約
右視床出血を呈した症例において,各種検査を行った結果,病識低下,見当識障害,注意障害,視覚的情報処理能力低下等の高次脳機能障害を認め,自動車運転再開の許可は下りなかった。しかし,日常生活は自立レベルであり,本人の強い希望から運転再開を目指し,交換日記やナンバープレースなどを用いリハビリを行った。その結果,各機能の改善が見られたことから,適切な訓練の介入が,自動車運転にかかわる高次脳機能の改善に有効であることが示唆された。今後,PT,OT,STといった身体機能・高次脳機能の専門家による積極的介入が行われ,高齢者のQOL維持や社会的問題となっている自動車事故の防止に繋がることが期待される。