2009年度  東京バイオテクノロジー専門学校

三宅島旧焼酎蔵からの酵母分離及び醸造特性


2009_bio

抄録

要旨

 東京都の離島である伊豆諸島では古くから焼酎醸造が行われ、現在10場を越える蔵が存在する。そのひとつ三宅島もかつては数場の蔵が存在したが10年以上前に休造した。その後、2000年の噴火による全島民離島後、2005年に帰島が始まり、それと併せて復興事業の一環として三宅島酒造㈱にて麦焼酎製造が再開された。

 本研究は三宅島酒造㈱との共同研究として、同社旧焼酎蔵から酵母の採取、分離、選抜、更に、その選抜酵母による麦焼酎の試醸を目的とした。

 まず初めに、かつて醸造が行われていた旧焼酎蔵の50箇所(木樽・柱・壁・梁・醸造用具など)から三宅島酒造㈱に依頼し酵母検体を拭き取り採取した。採取検体を、酵母選択用培地(GYP寒天培地・GYP液体培地・TTC重層培地・ピロガロール培地)を使い酵母の分離及び選抜を行った。更に選抜酵母と三宅島酒造㈱が使用する協会3号酵母を比較対照として麹抽出液を用いての小仕込試験を行い、醸造物の酸度、アミノ酸、遊離酸、アルコールの分析を行った。これらの酵母選抜過程、及び醸造物の分析結果から醸造適性があると思われる酵母を最終的に3株選抜した。

 選抜された酵母は、継代培養を繰り返し純粋化し、これら酵母の麦焼酎醸造適性を観るため乾燥焼酎用麹を用いて仕込み試験を行った。即ち、分離3株及び協会3号酵母で醸造し、醸造物の総酸度、アミノ酸、遊離酸、アルコールの分析、更に官能評価を行った。

 その結果、焼酎醸造適性を判断するアルコール収得量で、分離株№34が最も高い47.95%を示し、残りの2株も協会3号酵母を僅かながら上回るアルコール収得量を示した。又、試作麦焼酎を官能評価したところ、香りでは分離株№34、総合評価では分離株№7が比較的に良い評価を得られ、今回分離選抜された3株はいずれも麦焼酎醸造適性を有している事が示された。

 更に、市販の麦焼酎をベースとし、様々な果実の濃縮果汁を用いて伊豆諸島と三宅島をイメージした新たなリキュールの試作も併せて行った。