抄録
緒言
<背景・目的>
授業や実習を通して生活に困難を抱える方の支援を学ぶなかで、年齢・性別・障がいの有無などに限らず、誰もが自分が好きな洋服を着て生活をすることができる社会を目指したいと感じた。現代において洋服は「自分を象徴するもの」としての役割も担っており「自分はこういう人間である」という自己表現ができる大切な存在でもある。
本研究では「好きな洋服を着ること」と「外出頻度の向上」に関係性があるのではないかと仮説を立て、身体障がいをお持ちの方にご協力をいただき調査を行った。
方法及び結果
<方法>
学校内にて着なくなった洋服を集め、利用者様が着てみたい服にリメイクをした。試着をしていただきインタビューを行った。
1、洋服集め(東京福祉専門学校にて84着収集)
2、利用者様へインタビュー①「着てみたい洋服はどんな服ですか」
3、リメイクを実施(磁石やマジックテープを用いて10着作成)
4、利用者様が試着→インタビュー②
<結果>
インタビューの結果、着てみたいデザインの服であっても自分の障がいの特性上うまく着ることができない場合、着ること自体を諦めてしまっていた。そのためデザインだけでなく「着やすさ」という機能性も備わっている必要があることがわかった。また「好きなデザインで着やすい服があったらどこで着たいか」という質問では「外に着ていきたい」という回答が86%であり、好きな服と外出への意欲に関係性があったと言える。
<今後の課題>
ユニバーサルデザインの洋服を普及するためには価格を抑える必要がある。福祉の視点だけでなくアパレル業界も巻き込んだ取り組みをしていくことで、誰もが自分が好きな服を着て生活をすることができる社会を実現していきたい。