抄録
1. 序論・目的
我々は、広く循環活用できる機能性材料を合成し、資源の循環システムに活用したいと考えた。特に機能性材料の原料としてバイオマスの資源化を検討した。木質(間伐材,端材,炭材),エネルギー作物(さとうきび,大豆) ,畜産廃楽物(家畜糞尿) ,生物資質由来の廃棄物,その他に分類され、エネルギー資源,マテリアル資源の両面から注目されている。
昨年度までに、天然資源を用いた水中の重金属吸着剤,廃楽系バイオマスであるレモン残渣、コーヒー残渣等を用いた重金属吸着剤を開発し、これらはイオン交換樹脂や活性炭と同等以上の高い吸着能を示した。しかし、ゲルを合成する際にエポキシ等の高価な化学処理を行うため、真に環境に安全であると言いえなかった。
自然界のシステムは非常にシンプルな無駄の無い循環システムを有する、特に土壌中の、モンモリロナイト,リモナイト等の粘土鉱物,腐植酸,水の有機無機物の相互作用が生命循環活動として地球上で繰り返し行われている。このような生命循環活動は人間の生体内でも同様に発生していると考えられ、骨,血液等をマトリックスとして様々な器官が生命維持サイクルを作り上げている。このような自然界の作用は、近年バイオミミクリーの概念として度業,工業界にも広く活用されようとしている。