抄録
1. はじめに
高齢者施設において、レクリエーション等に参加することもなく何もせずに過ごされている利用者が複数いる現状がある。そういった利用者がこのようなレクリエーション活動に参加したいという気持ちになり、かつ気分が活性化するような有効な手立てはないかと考えた。健常中高年女性に対する森口らの研究によると、フラダンスを実施することで活動的気分を有意に上昇させ、陰性気分(不安、抑うつ気分、怒り、疲労、混乱)を低下させることがわかった。さらに高杉らは、フラダンスをすることで健常高齢者の仲間作りや自己表現が活発になることを明らかにした。
このように健常高齢者におけるフラダンスの心理的、行動的側面への効果は検証されているものの、これまでに認知症かつ立位保持が困難な高齢者に対しての研究はほとんど行われていない。したがって本研究では、認知症かつ立位保持が困難な高齢者に対してフラダンスを実施することで、健常な高齢者と同様に、気分の活性や行動の自発性の側面に有効性が認められるのではないかと考え、検証することとした。