2013年度  北海道メディカル・スポーツ専門学校

短期間のスポーツ復帰


2013_hms

抄録

1.研究の目的

来月にスポーツの大会がある。そういったシチュエーションは臨床的にもたくさんあると思い、外傷後のスポーツ復帰直前の選手に対し1ヶ月間で「最終段階の最高のアプローチ」をしたい。そこでバレーボールのアタックを対象に短期間でのアプローチを目的とした。

 

2.実施方法

・発表で公開する内容

(1) 被験者1名にダイナミックストレッチングを行う。

(2) 被験者1名にはトレーニングに合わせたダイナミックストレッチを行う。

(3) 矢状面で肩、肘、手に印をつけた状態でスウィングの撮影をして、スウィング速度の測定。

これらを週に3回、計4週間で実行

 

・発表で非公開の内容

(4) スウィング時、疼痛軽減のためのフォームの改善(ゼロポジション)。

(5) スウィングに関わる筋肉を3つ選んで、その作用に基づいたトレーニングを実行する。

 

3.問題点

スウィングの速さを撮影すると測定時に誤差がでてしまう。

 

4.問題点に対する対策

  正方形の板を測定者の写真上に入れ「ピクセル指数」を利用して板から印を付けた肩、肘、手の距離を計測することで誤差をなくす。ムービーの撮影により速度の変化を計測。

 

5.重要語句解説

ダイナミックストレッチングを理解するため相反性神経支配についての説明。

・相反性神経支配とは ある1つの目的の筋が活動している時、反対側にあるまったく反対の作用のある筋は相反性神経支配により抑制されて、目的の筋を活動させやすくしている。

例えると、肘を曲げているときに肘を伸ばす筋は抑制されて肘を曲げやすくしているなど。ダイナミックストレッチングはこの相反性神経支配を利用して行います。

 

6.考察

 ダイナミックストレッチングのみを行った被験者はスウィングの速度を少し上げることに成功したが、ストレッチのみでは筋自体の力が不十分であった。

ダイナミックストレッチングと筋力トレーニングを組み合わせて処方した被験者はかなり速度を上げることに成功した。

 

7.まとめ

 一般的な治療は筋力トレーニングのみが主流になっているが、このダイナミックストレッチングと組み合わせることで本来のSLAP損傷の治療期間の3ヶ月より4週間と大幅に速く治療を進めることができた、つまりダイナミックストレッチングを取り入れることで短期間でのスポーツ復帰に近づけることができた。

 

参考文献:柔道整復学・理論改訂第5版、運動学改訂第2版、生理学改訂第3版、解剖学改訂第2版

http:kintore-flness.com/tube/tube2html

http://www.i-muscle.net/should1/serratus.html