2014年度  北海道ハイテクノロジー専門学校

ハーネスを用いない能動義手の手先具開閉機構の開発


2014_hht

抄録

1-1.義手とは

 義肢とは、「上肢又は下肢の全部又は一部に欠損のあるものに装着して、その欠損を補てんし、又はその欠損により失われた機能を代替するための器具機械」(義肢装具法第2条)を言い、義手とはその中でも上肢の欠損に用いられるものである。

 古来、「人間の手は、表に現れた脳髄である」と表現され、人間の手の機能を代償するために、いろいろな工夫を凝らした義手が研究、開発されてきた。義手の歴史は、紀元前330年のエジプトのミイラにまでさかのぼることができる。以後、歴史の流れに沿ってその時代ごとの材料と技術を用いたいろいろな義手が開発・実用されてきたが、人間の手に代わる「万能の手」はまだ開発されるには至っていない。

 現状では、入手できるいろいろな義手の部品を組み合わせることで可能な限り個々の上肢切断者のニーズに適した手の機能を再現することが課題となっている。