抄録
第1章 研究背景
第1節 本研究について
把持装具が、第6頸髄機能残存の脊髄損傷患者や把持機能に障害がある患者に適応するとされている1)。しかし、装着が難しくADLの向上に大きく貢献しているとはいえず、実際に多くの患者が利用しているとはいえない。現在の把持装具、特に手関節駆動式把持装具は手関節背屈によるテノデーシスアクションによって物を把持する事ができる構造となっている。テノデーシスアクションを用いて、背屈動作で対象物を把持しようとすると手が対象物から離れてしまう。そのため、肩や肘の代償動作を行う必要がある。使用者側の問題点としては、テノデーシスアクションを用いた把持動作を使用したADL動作には限りがあり、ADL上では、ごく一部の動作しか行えないのが現状である。把持する3指が対象物に近づくことで、把持動作ができ、把持したまま他の動作を行えると、可能なADL動作が格段に増えると考えられる。