2017年度  東京医薬専門学校

乳幼児に対するプレパレーションの効果の検討
―保育士の専門性を生かして―



抄録

【目的】 外来での痛みを伴わない診療の際に、保育の専門性を活かした簡便なプレパレーションを行うことで、子どもの拒否反応を軽減できるか否かを検討した。

【方法】

1.アンケート調査

<対象>保育所の保護者,地域の保護者,育児中の専門学校教職員 合計176名。

<調査方法>子どもが病院やクリニックでの診察時に、どのような場面において嫌がったり泣いたりする拒否反応を示すかについて問う質問項目に回答して頂いた。

2.プレパレーションの実施

<対象>予備実施(専門学校内の実習室):診察が苦手な健康な2~3歳の男女児3名。
本実施(小児科クリニック):1~3歳の男女児5名。

<手続き>予備実施,本実施共に同様なプレパレーションを実施した。待合室または隔離室で待つ間、口内視診と聴診のプレパレーションを行った。その際、口内視診では舌圧子をアイスの棒に見立て、聴診については、聴診器にドキンちゃんをつけてお医師さんごっこを行った。いずれも子どもの好きなものと診察を関連付けることで、診察への抵抗感を払拭することを目指した。

【結果】予備実施でのプレパレ―ションの効果が見られたため小児科クリニックでの本実施を行った。その際、例えば3歳女児では、プレパレーションを楽しみ、口内視診時にも「アイスの棒だよ」の医師の声かけにスムーズに口を開け、聴診時にはアンパンマンのついた聴診器に興味を示し静かに受診した。口内視診を嫌がり泣きそうになった1歳妹もプレパレ―ションを見ていたからか、医師の「アイス食べよう」の声かけで自ら口を開ける様子がみられた。

【考察】クリニックにおいても、診察の際に、自ら口を開けたり、手をバンザイするといった積極的な受診が見られ、プレパレーションの有効性が確認された。象徴機能の成立に合わせたアイス屋さんやお医師さんの見立て・ごっこ遊びでの関わりが効果の発揮に繋がったと考えられる。また実施の際は、子どもの注意集中が途絶えないよう個別に行うことの重要性も示された。そのような中でも子どもの不安定さがみられた場面もあった。人見知りや場所見知り、感情など対象児の状態の詳細な把握が不可欠であることが明確になった。プレパレーション導入のタイミングや事前のアセスメントにより、対象児に合わせた対応が求められる。一連のプレパレーションの効果は、側で見ている子どもにも潜在的に影響を与える可能性も示された。医師からの要望により、今後の診察時の使用のため今回使用したツールを提供した。

【結論】痛みを伴わない処置に対しても、子どもの状態を考慮してプレパレーションを行うことの有効である可能性が示唆された。