2018年度  出雲医療看護専門学校

ローラポンプに取り付けた加速度センサによる
キャビテーション検知手法の検討



抄録

Keyword:ローラポンプ,キャビテーション,加速度センサ,検知手法,マイクロバブル

1.はじめに

臨床工学技士の業務の一つに体外循環業務がある.体外循環業務とは,人工肺によって酸素化した血液をローラポンプや遠心ポンプを用いて体外と体内で循環させるもので,主に人工心肺装置や経皮的心肺補助装置(PCPS)などを用いて行う.それらの機器の使用中に発生しうる問題として,キャビテーションの発生が挙げられる.キャビテーションとは,流路の一部で流体にかかる圧力が減少することで,液体中に溶け込んでいるガスの一部がマイクロバブルや気泡として発生する現象である.ポンプを用いた体外循環においてキャビテーションの発生は大きな問題となり1),特に発生したマイクロバブルが体内に入る空気塞栓を起こすなど体に致命的な悪影響を与える2).また,気泡が消滅するときに振動が発生し,ポンプや血液回路に機械的ダメージを与える可能性もある.しかし,キャビテーション発生の検知方法は目視などの主観的な判断が主で,現在のところ客観的・定量的な判断はなされていない3).よって本研究では,キャビテーションの発生自体を客観的で定量的な基準で判定する方法を検討した.

2.目的

ローラポンプのケーシングに加速度センサを取り付け,ポンプの加速度信号の大小によってキャビテーションの発生を検知する方法を検討することを目的とした.