抄録
はじめに
足浴は足先から足首あるいは下腿までを湯に浸して洗う一連の行為であり、看護技術である。
先行研究の「足浴が生体に及ぼす生理学的効果」(2009)で金子らは「足浴は、全身循環に対し大きな負担がかかることなく、かつ末梢循環を促進、維持させ、自律神経行動に関しては、足浴後に副交感神経活動を賦活化させ、交感神経活動を抑制させる。明確な生理学的効果のある看護技術であり、このことから、足浴はリラクセーション効果や入眠効果に貢献する看護技術であることが明らかとなった」と述べている。
私達も臨床実習で下肢関節に拘縮のある患者を受け持ち、リラクゼーション目的として臥床状態で足浴を実施した。しかし従来の足浴は、ベースンを使用しており膝が伸展していることで、張られた湯に指先まで浸かることが難しく、さらに浸そうとするとベースンが傾き、湯がこぼれてしまうなどの支障が生じてしまい、患者の満足感は得られなかった。
そこで関節拘縮がある患者も足浴の効果をより得られるように、足浴器のデザインを試行錯誤し、度重なる実験を行うことで新たな足浴器を開発した。