2019年度  出雲医療看護専門学校

若年者におけるロコモティブシンドロームと深部感覚の関連



抄録

はじめに

ロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)とは,2007年に日本整形外科学会が提唱した「運動器の衰えが原因で移動機能が低下している状態」を示した概念である.運動器の障害により日常生活動作の制限をきたし要介護移行へのリスクが増加する.近年では,若年者のロコモも注目を集め,2016年からは公立小学校における運動器検診が義務化されるなどの対応がなされている.

ロコモ該当者は転倒リスクが増加することが示唆されており,非ロコモからロコモとなった場合の転倒リスクは約3.5倍になると報告されている.転倒には様々な影響因子があるが,斎藤らは感覚機能(位置覚)低下が深い関連を持つことを報告している.しかし,現在のロコモ研究では主に筋力やバランス能力が注目されており,ロコモと深部感覚の関連を示した報告は少ない.ロコモと深部感覚の関連が示されればロコモの予防として深部感覚へのアプローチの必要性が示唆される.

目的

本研究では,若年者におけるロコモの該当率およびロコモと深部感覚の関連を明らかとすることを目的とした.