抄録
1. 序論
現在我々の生活は石油などの枯渇資源に大きく依存しており、これらの代替エネルギー源としてバイオマス資源が注目されている。中でも、我々が生活していく上で毎日のように産出するのがゴミ、いわゆる廃棄系バイオマスである。我が国におけるバイオマスの排出量は、一例として家畜糞は約 8900 万トン、製鋼時に副産物として算出されるスラグは約 5000 万トン、食品残渣は約 2200 万トン、農作物非食用部は約 1300 万トンにも上る。中でも植物バイオマスは、植物の光合成によって作られることで持続的に再生可能な資源であり、その利用によって放出される炭酸ガスは植物の成長過程で大気中から再び吸収されるため、地球に非常に優しい資源として、廃棄物処理・リサイクルから有用資源・物質を得る循環型社会形成の大きな柱である。
そこで我々は植物バイオマスの中でも特に食品残渣に注目し、世界中で産出されているコーヒー殻と果汁搾汁後のレモン果皮に着目した。コーヒー(我国でも年間約 44 万トンが消費されている。)やレモンの食品残渣には、繊維質となるセルロース・ヘミセルロースなどの多糖類が多量に含まれている。それ以外にも、コーヒーには 2〜3 %のリグニンや生理活性物質であるアルカロイド系化合物、レモンには柑橘系に多く含有しているペクチンや有機 Oil, 有機酸が存在する(Fig.2)。