2009年度  東京医薬専門学校

バイオマスの機能材料化に関する研究(2)


2009_tcm_2

抄録

1. 序論・目的

 現代社会では、地球資源として枯渇が心配される化石燃料や金属資源がある。一方で、循環・再生可能で枯渇の心配のない総量約 2 兆トンと推定されているバイオマス資源がある。これらは、廃棄物・未利用資源・資源作物に分類されている。この中で、廃棄系バイオマスは、木質(間伐材、端材、薪炭材)、エネルギー作物(さとうきび、大豆)、畜産廃棄物(家畜糞尿)、生物資源由来の廃棄物、その他に分類され、エネルギー資源、マテリアル資源の両面から注目されている。

 環境科学コースでは、2007 年度より廃棄系バイオマスの中の家畜糞に注目した。家畜糞は、日本国内で約 9 千万トン廃棄され、その処理が問題となる一方で Ca、P を多く含む天然資源です。この組成を利用し、環境浄化材料(重金属吸着剤・脱臭剤j等),生体材料(人工骨等) ,産業材料(蛍光材料)への基幹化合物として Hydroxyapatite [Ca10(PO4)6(OH)2 : HAp, Ca / P = 1.67] やβ-TCP [Ca10(PO4)2] を合成した。現在、家畜排池物は、野積み・素掘りなどの不適切な処理による悪臭、河川|への流出や地下水への浸透からの閉鎖水域の富栄養化、硝酸性窒索、クリプトルポリジウム(原虫)による水質汚染、廃棄処理による莫大な費用などの畜産原境問題が指摘されており、「家畜排泄物の管理の適正化及び利用促進に関する法律」が制定、平成 11 年 11 月 1 日に施行され、畜産環境問題解決の重要な課題とされている。アパタイトは、イオン交換特性に優れており、環境汚染物質を資源として、大気中の汚臭(アンモニアガス) や水質中の重金属 (Cd, Cu, Pb, Zn, Mo) の回収が考えられる。また、アパタイトは歯や骨の充填剤として用いられる高価な材料 (HAp・β-TCP : 1kg 20 万円) であり、低コスト化が不可欠であったため、日本国内で大量にある家畜糞から合成することで低コスト化が可能となった。