抄録
I.序論
肥満は成人病などの重大な疾患の原因になるとして問題視されており、糖尿病ばかりか肥満における癌の発生率は大変高いものである。特に、肝臓では、肥満による肝細胞への脂肪沈着によって脂肪肝が形成され、肝細胞の傷害によって、肝線維症を経て、肝硬変となり、やがては肝臓癌に至ることが報告されている。
このような発癌リスクを解消するためには、暴飲暴食を避けるばかりでなく、脂肪代謝の改善が最も重要であるものの、遺伝的に脂質代謝が悪い体質の人達も存在する。そのため、薬物に依存しない脂質代謝の改善方法として健康補助食品による脂質代謝の改善が期待されている。しかしながら、肥満の予防あるいは解消に有効と言われる健康補助食品は、体重減少に効果的であるとするものが喧伝されているが、体脂肪のみに効果があるのか、肝細胞の脂肪代謝にも影響を及ぼすのか、その詳細は不明である。