2010年度  大阪医療福祉専門学校

矢田部-ギルフォード性格検査からみた
臨床実習中の課題と対処方法の関係についての考察
 -自分を知れば実習が変わる-


2010_ocmw

抄録

I はじめに

 作業療法士・理学療法士養成施設の学生(以下:学生とする)が作業療法士・理学療法士(以下:OT・PT とする)になるためには,通過点として臨床実習を避けて通ることが出来ない.しかし,実習中では様々な課題に直面してしまう場合が多くある.なぜ学生は実習において困難な場面に遭遇してしまうのかと疑問に思う.

 近年の学生の傾向として,内山らは「専門学校の学生は,基本的知識の不足が突出しており,積極性とコミュニケーション能力とともに,文章能力不足,考察能力不足,提出期限が守れないなどの問題が浮き彫りになっている」と記している.また,宮内らは「社会環境の変化による核家族化・地域のつながりの低さなどから人と接する距離の取り方がわかりにくく,積極性がますます低くなっている」と記している.

 実際に積極性の低い学生は,臨床実習において,どのような困難さを生じるのであろうかという点に疑問を持った.

 積極性が低い学生は性格特性として,臨床実習では,「相談がしにくい」「落ち込みやすい」といった困難が生じる(以下:つまずきとする)と考える.その対処方法としては,第三者からの働きかけを待つといった方法をとるのではないかと仮説を立てた.

 本研究において,自己の性格特性を矢田部-ギルフォード性格検査(以下:YG 検査とする)によって調べ,行動との因果関係を明らかにすることで,臨床実習において自己の困難な場面を予測し,対処方法を導く指針になるのではないかと考える.

 また,アンケート結果を元に現在の学生の教育体制を確認し,より効果的な臨床実習にする為に学内での対策方法を検討する.