2022年度  新大阪歯科技工士専門学校

木床義歯について


抄録

緒言<背景・目的>

 現在の歯科材料は審美性や操作性に優れた扱いやすい材料である。私達は過去の歯科材料はどのようなものなのか、またどのようにして製作していたのか興味を持った。そこで現在のレジン床義歯の始まりでもある木床義歯の歴史について調査し、実際に木床義歯の製作を行った。

方法及び結果

 木床義歯は1538年(室町時代)に仏師によって製作されていたが、江戸時代に入ると仏師から入歯師という職業が誕生した。また、日本最古の木床義歯には黄楊(床部)や象牙・牛骨(人工歯)が用いられ、尼僧である中岡テイ氏が使用していた記録が残されている。木床義歯の製作器具は木工切削工具(インスツルメント)、京紅(咬合紙)、木賊・漆・鮫皮(研磨道具)および三弦糸(維持装置)が使用されていた。そこで今回は実際の木床義歯の製作を行った(写真1)。また、過去の木床義歯に使われていた黄楊の木と現在使用されているアクリルレジンの曲げ強さについて検討を行った。曲げ試験は38×12×1.5㎜に調整した試料を精密万能試験機(EZ-SX;SIMAZU)を用いて行った。レジンと黄楊の曲げ強さは63MPa、122MPaとなった。これらのことから黄楊の曲げ強度はレジンの約2倍であり、黄楊は現在の歯科材料に代用できる材料だったことが分かった。

写真1 制作した木床義歯 口蓋側面


写真1 制作した木床義歯 粘膜側面