抄録
1.序論
現在我々の生活は、枯渇資源である石炭や石油などの化石燃料によって支えられている。この資源に埋蔵量に限りがある為、代替材料の研究が盛んに行われている。中でもバイオマスを用いた研究が特に盛んである。例を上げると、バイオエタノール (さとうきび等の糖質原料、とうもろこし等のでん粉質原料、稲わらや木材等のセルロース系原料から製造することが可能であり、糖化、発酵等の過程を経て製造される) については、アメリカ、ブラジルの2カ国の生産量が突出しており、世界の生産量の約 70 % を占めている。また、我が国の農林水産省では、バイオマス利用推進計画である「バイオマス・ニッポン総合戦略」が平成 14 年に閣議決定し、注目されている。
バイオマスの中でも、我々が生活していく上で毎日のように産出するのがゴミ、いわゆる廃棄系バイオマスである。我国におけるバイオマスの排出量は、一例として家畜糞は約 8900 万トン、製鋼時に副産物として産出されるスラグは約 5000 万トン、食品残渣は約 2200 万トン、農作物非食用部は約 1300 万トンにも上る。近年の社会情勢において、バイオマスの再利用は必須であり、現在、産業界では、廃棄系バイオマスを用いて、燃焼、生化学、エステル化、熱化学からの基幹化合物を生成し、これらを吏に、熱、電気、ガス、液体燃料、有機化学材料への変換するシステムを、多方面から研究されている (Fig.1)。
そこで我々は、廃棄系バイオマスの中でも家畜糞とスラグ,食品残渣に着目した。