2007年度  東京バイオテクノロジー専門学校

ブラックバスを用いた加工食品の開発


2007_bio

抄録

要旨

 昨今、ブラックパスが日本全国で異常に増殖しており、社会問題となっている。同魚は独特の臭みをもち、五訂食品成分表に掲載されていないことからも分かるように、食品として利用は限られ、大部分が廃棄されているのが現状である。そこで、本研究では、同魚の有効利用を目的としてかまぼこ、魚醤油等の加工食品の開発を試みた。

 まず、試料となるブラックパス (滋賀県漁業協同組合連合会から分与) の一般成分分析を行った。次に、かまぼこ製造を目的として、魚肉の水さらし前後の不揮発性アミン類 ( Put, Cad, His, Tyr, Spd ) の定量を HPLC により行った。引き続き、市販冷凍すり身との配合割合を検討して揚げかまぼこを製造、弾性の測定・官能検査に供した。また、魚肉に 17 % の食塩を加えたうえで、無添加区・米麹 ( 10 % ) 添加区・プロテアーゼ ( 0.2 % ) 添加区の 3 条件で魚醤油製造を行った。発酵 ( 35℃ ) の過程で 1 ヶ月毎にサンプリングし、アミン類・pH・Brix・揮発性塩基窒素 ( VBN ) の測定に供した。また、卵巣の加工や燻製の製作も試みた。

 一般成分分析の結果、水分 81.0 % 、タンパク質 15.8 % 、脂質 2.2 % 、灰分 1.0 % 、エネルギー 87 kcal 、廃棄部 45 % と同目のスズキに匹敵する値が得られた。魚肉を流水で 90 分間水晒しすることで、異臭成分であるアミン類はほぼ完全に除去された。製造した揚げかまぼこは、官能検査において市販品 (さつま揚げ) と同等の評価を得た。同様に、塩漬した卵巣は、味・食感に関してはたらこと、燻製はニジマスのそれと同等の評価を得た。6 ヶ月開発酵を行った魚醤油は、不揮発性アミン類が 77 mg % (プロテアーゼ添加区) 、VBN が 496 mg % (米麹添加区) とナンプラ一等のそれらに匹敵した。米麹添加区において、香り・味に関して市販品(ナンプラー)と同等の評価を得た