2007年度  東京医薬看護専門学校

先天性運動失調マウスの中枢神経の形態学的解析


2007_tcm

抄録

1. 序論

抗腫瘍剤は、癌細胞のみを特異的に標的とするだけではなく、毛髪や生殖細胞、消化管上皮細胞や胎児など、増殖中である正常細胞のゲノム遺伝子にも変異を起こすため咽吐や脱毛、神経障害など様々な副作用が問題とされている。

 本校では、若齢期に抗がん剤(シクロフォスファミド)を投与した雄マウスと正常な雌マウスを交配して仔を得た。この仔と抗がん剤を投与した雄マウスを戻し交配した結果、種々のミュータントマウスが生じた。その中で成長と共に進行性運動障害を生じ歩行困難となる先天性運動失調マウスを系統として分離・樹立することに成功した。昨年までの研究でこのマウス系統は、8 週齢頃に明らかな後肢の運動隊害を生じ、組織学的解析によって小脳髄質に空胞変性が確認されていることが分かっている。しかし、運動失調の発症時期や運動障害の程度に対する小脳核周辺に見られる空胞変性との関連性は明らかにされていない。