抄録
要旨: 1988 年より臨床工学技士法が成立してから 18 年が経過し、施設での臨床工学技士の業務は年々増加する傾向にある。しかし、業務の増加に伴った人員の増加傾向はあまり見られない。このため臨床工学技士にとって各業務の効率化は重要な課題となっている。中でも医療機器の点検業務は多くの時間と労力を割くものである。そこで本研究はこれらの点検業務のうち施設内で最も台数が多いと考えられる輸液・シリンジポンプの点検法についてその実態を調べる事にした。その結果、アナライザと称される点検機器が最も点検精度が高く、作業効率もよい方法だと判明した。ただしこの機器は高価であり、多くの施設がメスシリンダ一等の簡便な点検方法を採用していることもわかった。メスシリンダーによる点検方法は点検そのもののコストは安価ですむが、点検精度はアナライザと比べて劣っていると考えられる。患者の命に関係する点検を容易にすましてよいのだろうか。そこで本研究ではコストパフォーマンスを重視する高精度な点検法を考えた。