2006年度  東京医薬看護専門学校

植物資源を用いた機能性材料の開発
1. バイオマスゲルへのレアメタル吸着反応(2)


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抄録

7. 個人考察

044-0017 植田 佳誉子

 石油や重金属は、エネルギー・燃料・高分子製品・医薬品・機器部品など多くの分野で幅広く用いられる基幹化合物であり、現在の生活に欠かせないものとなっている。特に重金属は、石油と並んで貴重な資源として着目されており、現在用いられているのはイオン交換樹脂や活性炭にて回収・除去が行われている。しかしこれらを用いる為には、合成や前処理に非常に時間とコストがかかるため、経済発展途上国では、吸着常法としてこれらを使用するのは困難である。これに変わる代替材料として、植物の光合成や成長の過程で樹金属吸収・蓄積する植物に着目し、この性質を生かした植物バイオマスを用いた重金属吸着剤作製を行った。この吸着剤に関して、昨年度、ベースメタルの Pb2+, Cu2+, で、特に吸着能が高いと報告されている。本年度では、現代社会の国民生活に欠かせない非鉄金属のうちのレアメタルといわれる重金属に着目した。レアメタルは年々価格の高勝をして、国内供給や他国からの買い入れも事実上困難といわれている。そこで今回レアメタルの中で特に国内消費量が世界で最も多い Ni2+, C02+, についての検討を行った。さらに、一般に用いられるイオン交換樹脂や活性炭も問様の実験を行い比較し、また昨年度に行われたベースメタルの吸着能との比較検討も行った。

 最初に、Biomass gel とレアメタルの最適 pH について検討を行った。今までの研究報告により、植物由来の Biomass gel への重金属の吸着には、pH の影響が大きく作用することが報告されている。これはバイオマスの含有成分の酸性及び塩基性の多糖類やアルカロイド系成分の含有成分が関係していると考えられ、また、重金属本来にも、水溶液による pH の影響により錯体形成をすることがわかっている。以上の報告をもとに、レアメタルの最適 pH を求め検討を行った。Lemon gel, Coffee は、Ni2+ は pH 4 であり、C02+は ph 5 という結果が得られた。Coffee gel は、Ni2+, C02+ 共に pH 5 という結果であった。