2004年度  東京医薬看護専門学校

バイオマスを用いた機能性材料の開発


2004_tcm

抄録

1. 序論

 現在、石油資源は高分子製品、繊維、エネルギー、食品、医薬品など様々な分野、製品に利用され、20 世紀は、石油産業が中心となり発展した。そのため、化石燃料の大量消費が行われ、それにより地球環境の環境破壊と産業廃棄物の大量発生が引き起こされた。これは、世界の産業界が資源の大量消費、大量廃棄による利便性、効率性を優先させた工場や鉱山の運営、戦争による劣化ウラン弾などにより副産物として発生する重金属や人工の有機物が大量に流出していることがおもな原因になっている。これら廃棄物は難分解性で残留性が高いため、自然界では分解されずに残留、蓄積し、地球温暖化、酸性雨、ホルモン様物質など様々な地球環境問題を引き起こしている。中でも水系への重金属汚染は生命活動に深刻な影響を及ぼし、深刻な世界的問題となっている。日本でも有機水銀が原因である水俣病や、カドミウムが原因であるイタイイタイ病などが挙げられる。近年、重金属による水質汚染はほぼ基準値に達している。しかし、水質汚染や土壌汚染はなくなっていないので問題として残っている。

 21世紀はこれら諸問題を踏まえた循環型社会の構築が目的とされ、それには環境修復を伴うゼロエミッションの取組みが不可欠である。私たちはこの取組みの一環として先に述べた重金属を貴重な資源と考え、水環境中から除去・回収することを考えた。現在、重金属のおもな除去方法として、イオン交換分離、共存分離法、溶媒抽出などが行われている。しかし、これらの方法は迅速性や操作位、なにより広範囲の汚染物質の除去にはコストがかかるため、経済的余裕のない国では対応しきれていないのが現状である。そこで、ゼロエミッションの観点から大量に廃棄されているバイオマスを重金属除去に活用することを考えた。