2002年度  東京医薬専門学校

ガン細胞と間質細胞の相互作用を標的にした抗テネイシン抗体の効果に関する研究


2002_tcm

抄録

1、序論

 癌治療の基本的な考え方は大きく分けて 3 つある。1 つ目は、癌が発生した臓器ごと切り捨ててしまう治療(外科的切除)。2 つ目は、外科手術できない臓器の癌(例えば脳腫瘍を脳ごと切除は出来ないし、造血組織の癌である白血病の臓器である骨髄は全身にあるので切除できない)、また他の場所にまで広がってしまった癌など、これら外科切除不能の癌を、薬や放射線で叩いて、なるべく小さく・弱く・おとなしくする治療(抗筋剤治療法・放射線法)。3 つ目は、免疫力を高めて癌を治そうとする治療( BRM 治療) や遺伝子治療などである。

 このような基本的な考えから、現在までの近代医学の癌治療の第一選択肢は、手術が可能な癌なら外科的療法である。そして、手術ができない癌、再発癌、転移癌、また外科的療法の補助として、二次的に抗癌剤療法がある。

 抗癌剤療法とは、毒性の強い薬(化学物質)を使って癌細胞を殺してしまおうとする治療法である。抗癌剤が攻撃しようとする癌細胞は、もともと自分の細胞なので、癌細胞を攻撃すると同時に、必ず正常細胞も攻撃することになり. この正常細胞への攻撃が、身体に何らかのダメージを起こしたものが副作用と呼ばれているものである。つまり、抗癌剤を強くし、癌細胞を強く叩こうとすればするほど、それだけ正常細胞もダメージを受けることになる。また、結果としてこの副作用が患者の QOL (生活の質)を低下させてしまう。そのため、副作用が少ないと考えられる抗癌剤の開発がより多くの人を救うようになるのである。

 そこで、本研究では、癌細胞の増殖・転移に重要な働きをしている細胞外マトリックスのテネイシンと周辺組織(間質細胞)との相互作用に着目して、それを阻害する抗テネイシン抗体の効果に関する研究を行った。