2012年度  北海道ハイテクノロジー専門学校

TSB下腿義足における採型治具の開発


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抄録

Key Word : TSB下腿義足、トータルコンタクト、ボリュームコントロール、採型治具

【概要】

 近年、下腿義足の選択はライナーを用いたTSBソケットが主流となっている。

適合の良いソケットを獲得するため、様々な採型方法や採型治具が提案されている。採型では技術を要し、削り修正に多くの労力と時間がかかる。治具では使用時の手順の複雑さ・サイズ・コストなど、それぞれに問題点をかかえている。

本研究の目的は、これら既存の採型治具の問題を解消すると共に、陽性モデルの修正を省略出来る採型治具を開発することである。

 開発したオリジナル治具は、TSBソケットの良い適合に必要なアプローチを達成するために、直接的で簡易的な構造の設計を行なった。また、コンパクトで軽量な治具にすることによって、操作性やの向上や既存の治具との差別化を図った。

 オリジナル治具の使用によるソケットの適合性を評価するため、被験者での適合評価実験を行なった。その結果、陽性モデルのボリュームコントロール、ソケット回旋の防止、立脚期におけるソケットの安定性など、各評価項目において良い結果を得られた。

これらの結果からオリジナル治具は、陽性モデルの削り修正を省略しても、適合の良いソケットを獲得出来るものであると結論付ける。また、大幅な小型・軽量化を実現し、操作性の面において、他の採型治具と比較して有益な治具となった。

 今後は、より多くの被験者にオリジナル治具を使用・評価し、治具の機能および構造の改良につなげていきたい。