抄録
1、はじめに
障害児にとっての放課後の過ごし方は、家庭で1人または、母親と2人きりで過ごすことが多く、遊び方もテレビを見る等と単調になり『豊かな余暇を過ごせていない』というのが現状である。現在、障害児を対象とした放課後活動は、全国で少なくとも500ヶ所以上と言われている。しかし、放課後活動の設置状況は地域間の格差が大きく『足りていない』というのが実態である。また、経済的負担が大きいことや子ども1人あたりが通える日数が少ない、通いたくても通えない等といった『待機児童』がいることも放課後活動の問題点として挙げられる。以上のことをうけ、本校の位置する江戸川区の障害児を対象に実際に障害児の放課後活動の問題点とは、どのようなものなのかを明らかにしたいと考え、研究1を行った。
また、東京福祉専門学校では授業の一環として障害について学ぶ学生が障害児を対象とした放課後活動(以下:障害児広場)を企画、運営している。そして本研究を行った私たちは、週1回この活動を企画、運営してきた。障害児広場は、保育を学ぶ私たちにとって、実際に障害児に関わり学ぶことのできる貴重な場になった。また、大学や専門学校において、学校に障害児を招いて放課後活動を運営しているのは他に聞いたことがなく、珍しい試みであると言える。さらに、学校の空き教室と学生のマンパワーを効果的に利用した障害児支援の場であると言えるだろう。しかし私たちは、保護者がプロではない学生が行う活動に対して『学生は障害に対する知識が少ない』『安全に活動が出来るのか』等の不安を抱くのではないかと疑問が沸いた。そこで、学生が行う放課後活動に対する不安はどのようなものなのかを具体的に明らかにすることを目的に研究2を行った。また、実際に子どもを広場に参加させて不安が軽減した保護者は、どのようにその不安が変化していったのかを明らかにすることを目的とし、研究3を行った。